9月3日に映画監督の澤井信一郎監督が
83歳でお亡くなりになったというニュースが
私が日芸大学院生時代に大学で3回ほど
澤井監督とお会いする機会がありました
澤井監督が特別講師という形で
自分の作品などについてお話をされた講義で
大学院の授業だったので
クラスには留学生と日本人学生合わせて
５名ほどだったと思います
当時、澤井監督が最後に手がけた映画
「蒼き狼 地果て海尽きるまで」
（2007年松竹配給）が公開された直後で
30億円をかけた超大作映画だったにも
関わらず、日本での興行収入は惨敗
映画「蒼き狼」は
モンゴルのチンギスハーンの生涯を
反町隆史さんを主演に日本人キャストで
描いた異色歴史大作映画
澤井監督が講義の中で
「あの映画は自分にとって恥辱だよ！」と
かなり激しい口調で語っていたのを覚えています
講義を受けていたモンゴル人留学生の
女性が澤井監督に「日本人がモンゴルの英雄を
映画化してくれたことに感謝しています」と
言ったものの
澤井監督はかなり渋い顔をされていました
私が思わず澤井監督の「Wの悲劇」が好きで
澤井監督の手がけた作品でお気に入りはどの
作品ですか？と聞いたところ
澤井監督が講義中、上映して見せていた映画
モーニング娘。が主演した映画
「仔犬ダンの物語」を指差して
「この映画だよ！」と吐き捨ているように
言っていました（苦笑）
どうやら「蒼き狼」の後遺症が
続いていたようで、私は澤井監督に火に油を注ぐ
質問をしてしまいました
ただ
講義が終了後に澤井監督にサインを求めたところ
しっかりサインをしてくれたので
私は内心ホッとしました
それから
日芸に数回、澤井監督が来られた際には
お昼を一緒に食べたりして
澤井監督と少しですがお話をする機会がありました
澤井信一郎監督が手がけた書籍が一冊ありまして
「映画の呼吸―澤井信一郎の監督作法」
この本の中に、澤井信一郎監督が手がけた
映画作品の数々が記録されています
澤井監督は「助監督時代は自分の仕事が終わると
よく将棋をさしていたよ」と語ってました
澤井監督は東映で助監督を20年間も務めていたんですね
デビュー作があの松田聖子さん主演の映画
「野菊の墓」（1981年）
薬師丸ひろ子さん主演の映画
高橋留美子さん原作漫画を実写化した映画
「めぞん一刻」（1986年）
私が映写技師をしていた頃に上映され
吉永小百合さん、渡哲也さん主演で話題をよんだ
「時雨の記」（1998年）
などなど
幅広いジャンルを手がけた澤井信一郎監督
私の知り合いにも撮影所で助監督を経て
テレビなどの演出を手がけていますが
澤井監督も助監督から叩き上げの職人映画監督で
私が澤井監督から「何をしてるの？」と聞かれ
「自主映画の監督をしています」と言うと
「監督？」と疑問符がついたような反応が
おそらく
私の知り合いもよく口にするのですが
「監督」とは「助監督」を経てなる職業であり
「助監督」を経験していないのに「監督」や
「ディレクター」になっているのは
「本物」ではないと言う認識があるのでしょうか
私は澤井信一郎監督に思わず
「あ、すいません」と言ってしまいました
その直後に書いてもらった澤井監督のサインには
大きな文字で「カントクへ！澤井信一郎」と
書いてもらいました（苦笑）
私個人の澤井信一郎監督の印象は
激しさと冷静さを合わせ持った人物で
その根底にあるのは長年の助監督経験からくる
経験値なのだと思いました
澤井監督、私はまだ自主映画の監督を
STUDIO F+（スタジオエフプラス）として
続けていますよ！と一言だけお伝えして
澤井信一郎監督のご冥福を心より
お祈り申し上げます
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