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映画評:「川の底からこんにちは」

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石井裕也監督作品「川の底からこんにちは
を渋谷のユーロスペースで見ました。

ユーロスペースと言えば、私のドキュメンタリー
映画「映画館物語2007~2008」でお世話に
なった映画館でした。

石井監督の出世作「剥き出しにっぽん」と
ガール・スパークス」をミックスした
ような感じの映画に仕上がっていました。

ただし、今回の「川の底から~」は石井映画初の
泣ける映画にも仕上がっているのに驚きました。

平日の昼間に観に行ったので、お客は閑散と
していましたが、大学生風の女の子二人組は
後半泣いてましたね。

あと驚いたのが、私の座った席の列にいた、
60代のおばちゃんがオオウケしていて、
声をだして笑っていたのが印象的でした。

「女性ウケる映画を作りたい!」と、以前、
日芸の大学院棟で石井監督が話してくれたのを
覚えています。

「剥き出しにっぽん」から始まる一連の石井作品は
主に男性が観て笑える映画が中心でした。

特に、石井監督独特の下ネタギャグは、
男性の観客なら誰でも笑ってしまうネタでした。

今回の「川の底から~」も下ネタギャグがあります
が、どちらかと言うと、現在の日本が抱える
問題群~幼児虐待、不景気、派遣社員の問題、
さらには、地球温暖化、エコブーム等にも辛口の
石井節を効かせている方が多く見られましたね。

私が石井監督から見せて頂いた「ガール・スパークス
から思っている事ですが、石井監督の脚本・演出は
今の日本社会が抱える問題を石井流に解釈し、
観客に対して提示するという、現実的な目線に
たった作品が多いと思うのです。

しかも、石井作品の特徴は「コメディー」を
貫いていると言う事です。

よく映画批評家が石井作品を称して「重喜劇」と
呼ぶのは、石井作品には必ず「笑い」がある
からです。

満島ひかりさんの「つぶやく」ようなセリフまわし
は、石井作品のヒロインによく見られます。

残念ながら、今回は石井作品の常連、桂とんぼ
さんが出演していなかったので、個人的に大爆笑
できるシーンがなかったのが残念でしたね。

泣かせどころを押さえながらも、お涙頂戴映画に
はしないところも石井監督らしいです。

次回作は一体、どのような笑いと感動を持って
くるのか?楽しみにしています。