2006年6月頃だったと思います。
日本大学芸術学研究科博士後期課程の学生だった私は、先生と博士論文のテーマについて
話し合いをしていました。
当時、まだ私は博士論文の具体的なテーマが決まっておらず、先生との話し合いの中で
日本のSFX(VFX)について研究してみたいと言ったところ、「それじゃあ、円谷さんとこに
行って実際の現場を見てくるといいかもしれない」と。
それから先生に円谷プロダクションへ連絡をしてもらい、撮影現場への見学の
日程を決めてもらいました。
まず私は、お世話になる円谷プロダクションの担当者にご挨拶に行き、その後
「ウルトラマンメビウス」の特撮パートを撮影している「東宝ビルト」というスタジオの見学の
日程を決めて頂きました。
「東宝ビルト」とは、1962年に設立された撮影スタジオ(大道具製作セクションでもあった)
撮影にも使われたという伝説のスタジオでした。
残念ながら、2008年に老朽化などの理由により「東宝ビルト」は閉鎖され、再開発されることに
なったとの事です。
私が訪問した時は、ウルトラマンメビウスの第35話「群青の光と影」の特撮が行われている
最中でした。
訪問の際に担当者から言われた事は、撮影中のシーンをカメラなどで撮影はNGであり、
放送前なのでストーリーなどをブログなどで掲載しない事でした。
私はノート一冊とペンを用意して、監督席の横の空いているスペースにずーっと立って
目の前のステージで行われている撮影を見させて頂きました。
朝10時過ぎから始まった特撮パートは、まず「ニセ・ハンターナイト ツルギ」が
ビルを腕で破壊するシーンから始まりました。
村石宏實監督の「よーい、アクション!」の声で、「ツルギ」がビルを腕を振って壊すと
同時にパパパーン!とビルに仕掛けられた爆竹のようなものが弾けました。
模型のビルが見事に破壊され、「はい、カット!」の声でカメラが止まり、次のシーン撮影に
うつります。ワンカットごとの撮影は約30分刻みに行われているようでした。
監督の「カット」の声がかかり、一度「チェック」が入り、カメラの移動や模型やら、火炎などの
仕掛けが手際よくセッティングされ、そして再び撮影が始まるという感じでした。
私はナマの特撮現場を見たのはこれが初めてだったので、「これが日本の、あの円谷プロの
特撮なのか!!」と感動しましたね。
円谷プロの担当者の方が、「日本の特撮はまだまだアナログな部分が多く、もっと技術面を
向上させたいと思っているんだけどね・・・・」と言われていたのが印象的でした。
つづく