STUDIO F+のPhoto Blog

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イカゲームの成功とクールジャパンの失敗

先に言っておくと、私は韓流ファンでは

ありません

 

好きな韓国映画は数本で

キム・ギドク監督の「悪い男」2001年

ナ・ホンジン監督の「チェイサー」2008年

ポン・ジュノ監督の「母なる証明」2009年

ぐらいです

 

しかしながらNetflixの「イカゲーム」

2021年を観てからというもの

認めたくはないけれど、

韓国エンターテイメントは

世界的に間違いなく認められたのだと思いました

 

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Netflix Squid Game 2021

 

Netflixの「イカゲーム」の内容は

すでに多くのネット記事で書かれているので

ここではあえて書きません

 

私は「イカゲーム」の成功は

アジア人がメインに出演する実写映画が

ようやく白人メインキャストだった映画の世界に

風穴を開けてくれたものだと感じているのです

 

私がアメリカの大学で日本語教師をしていた頃

1999年〜2002年、すでに日本語を学ぼうという

アメリカ人の数は減っていました

 

バブル経済崩壊前のウソみたいな勢いがあった

日本経済の時には、日本語ブームが起こり

かなりの数のアメリカ人大学生が日本語を学ぼうと

したようでしたが

 

バブル崩壊後、経済が完全にダメになった

日本という国に魅力、うまみを感じた人は減り

日本語を学ぶ理由がなくなった人たちは

次世代の経済大国と言われていた中国へと

目を向け始めていた時期でもありました

 

私の日本語クラスのアメリカ人に

「なぜ?日本語を学ぼうと思ったのか」と

その理由を聞いたところ

 

かつて日本に住んでいた(行ったことがある)とか

日本の古い文化が好きだからとか

付き合っていた彼女が日本人だったからという

数ある理由の中で1番の理由にあげていたのが

日本のアニメが好きだからという理由でした

 

当時は鳥山明先生の「ドラゴンボール」のアニメが

アメリカのテレビで放映されており

日本の文化でカッコいいのは「アニメ」だったのです

 

今も使われているダサい言葉に

「クールジャパン」というほぼ死語がありますが

これはポップカルチャーの代表だったアニメや

漫画、ゲームなどで日本の魅力を世界に売り込もう!

というもの

 

私がアラスカで教壇に立っていた時も

日本のアニメだけはダントツ「クール」な

日本文化なのでした

 

ただし、当時から私が疑問、不満に思っていたのは

アニメは確かに日本の「製品」かもしれないが

それを作っている日本人の姿が「クール」だとは

誰も評価していないように感じていたのです

 

もちろん、鳥山明先生、大友克洋先生

宮崎駿監督、黒澤明監督、小津安二郎監督

など実際の日本人クリエイターの評価が

高いのは当然でしたが

 

日本の俳優、女優やタレントで「クール」だと

言われた人を聞いたことがないのです

 

たまに聞いたとしても

黒澤映画に出演していた三船敏郎さん

ぐらいでした

 

私が言いたいのは日本のアニメがいかにクールでも

ナマの日本人、実写の日本人がクールだとは

誰も思われていない事実がとても矛盾しているように

感じていたのです

 

アニメは吹き替えされ、その放送される国の言語で

視聴者は見るため、日本人が作った作品にも関わらず

自分の国のアニメのように感情移入でき

 

そのアニメがどこの国で作られようとも

後ろの日本人の姿は影のようなもの

 

私が住んでいた頃のアメリカではまだ

アジア人が主演を務めた映画、ドラマは

映画マニアが見に行くものであり

 

ハリウッド映画では相変わらずアジア人は

日本人なら必ず滑稽な役で登場し、

中国人なら間違いなく悪役で登場していたのです

 

いわゆるステレオタイプというやつですね

日本人が大好きなディズニー映画がよくやる

方法です

 

それから時が経ち、2021年

イカゲームの大ヒットは生の韓国人俳優に

スポットが当たっているのです

 

しかも韓流は映画だけではなく

BTSといった音楽でもアメリカを席巻し

アジア人、とりわけ韓国人はカッコいい!

存在になりつつあるのです

 

これは凄いことなんです

ナマのアジア人がクールな存在だと

西洋文化の中心地であるアメリカで

言われることは

 

イカゲーム、BTSなどの韓流ヒットの

要因の一つには

アメリカという国、アメリカ人が変わりつつ

あるという証拠なのだろうか?

 

IGN JAPANの庄司かおりさんの記事に

アメリカのZ世代 Netflix史上最大のヒット作

イカゲームに熱狂のなぜ」というものがあり

引用させて頂くと

 

(IGN JAPAN

https://jp.ign.com/squid-game/55176/feature/znetflix?utm_source=recirc

 

アメリカでは「Z世代」と呼ばれる、

1995年から2012年の間に産まれた若者達が

イカゲーム』フィーバーの立役者だ。

生まれた時からデジタルデバイスに囲まれ

スマホを使いこなし、グローバルエンタメの

中枢にあるアメリカで育った者たちが

一体なぜ東アジアの番組にここまで魅了されるのか?」

 

「大きな理由は、お金にある。

Gen-Zはひとつ上のミレニアル世代と比べると

不遇の世代である。

リーマンショックの真っ只中に多感な10代を

過ごした人達が多く、そのトラウマが

トランプを大統領に押し上げたとも言われている。

そして今、広がり続ける貧富の差と高騰する家賃

物価は多くのGen-Zを引きこもり同然の

暮らしに追い落とした。

アメリカ史上、もっとも社会的に冷遇されている

世代と言われており、それだからこそ

アメリカンドリームなど追い求めない。

何せ大学に行けたとしてもその後に待っているのは

膨大な学資奨学金の返済だ。

デカい車も芝生のお庭が自慢の郊外の家も、

結婚も大型犬も、そのすべてに背を向けるGen-Zは多い。

どんなにがんばってもベゾスや

ザッカーバーグになれるわけでもない。

ならばあくせく働かず多くを求めず、

デジタルスクリーン越しに広がる世界で

ずっと遊んでいればいいよね、的な気持ちでいる一方、

一攫千金を夢見る傾向が強い。

多額のお金が一気に転がり込み、借金は一瞬のうちにチャラ。

酒もタバコもやらないGen-Zは、

快感をこんなシナリオに求めているのかも知れない。」

 

アメリカ史上、もっともダイバーシティを重んじ

人種間差別に興味すらないGen-Zは親世代の

Gen-Xが今まで心のよすがとしてきた白人信奉主義を

猜疑の目で見ている。

白人を信奉したところで良いことなどない、

と骨身に沁みてわかっているGen-Zは

逆にアメリカ人であることを重荷に感じるフシがある。

トランプ政権やBLM 、度重なる警察官の暴力事件や

連邦議事堂襲撃事件。

脳内の逃げ道を自国のエンタメに求めても

ハリウッドの紡ぎ出す『イカゲーム』ライクな作品には

必ず合衆国の「国家の威信」と「軍部の思惑」が絡み、

いまいちエスケープ気分が乗らないのだ。

ところが『イカゲーム』ときたら誇大妄想に陥りがちな

アメリカンホワイトを正面からおちょくっていている。

作中、VIPと呼ばれるアメリカンイングリッシュを

話す白人の描かれ方がひどいのだ。」

 

庄司さんの記事は鋭いところついていると

私は思う

 

アメリカのZ世代が、アメリカ社会の中心にいる

白人を信じなくなりつつあるというのである

しかも

アメリカはご存知のとおり、超格差社会であり、

軍事産業とエンタメ産業で経済が回っている国である

 

軍隊に入らせるためにわざと貧富の差を解消してない

のではないか?と思わざるおえないくらい

金持ちと貧乏人の差は激しい

 

かつて一緒に仕事をしたことがある

香港出身のカメラマンがアメリカのニューヨークで

企業CMの撮影に行った時の感想を聞いて驚いた

 

私が「ジャムさん、NYどうだった?撮影楽しかった?」

と聞くと、ジャムさんが開口一番

アメリカはかわいそうな国。大金持ちとど貧乏しかいない」

と言った

 

中国語はもちろん、英語、日本語が堪能な

ジャムさんが日本語で話してくれたのだが

彼の言った「ど貧乏」には、思わず笑ってしまった

 

ただ世界で活躍しているジャムさんの視点は

間違っていないと感じた

 

アメリカは「ど貧乏」と「ど金持ち」の

2極しか生活できない社会なのだと

 

韓流「イカゲーム」がもたらした奇跡は

アジア人にとってチャンスだと思う

 

今こそアジア人俳優が世界のエンタメの舞台で

主役として活躍できるのではないだろうか

しかも英語を無理やり話さなくても

 Netflixなら吹き替え版を同時に配信してくれるので

アジアのローカルな舞台の物語でも

テーマ性が世界的に響くものであればヒットする

可能性があるのではないだろうか?

 

最後になるが

クールになり損ねたジャパンは

せめて韓国映画の後塵を受けながらも

実写映画で世界に勝負してほしいと願う

 

三船敏郎以上の日本人役者や

黒澤明以上の日本人監督が世界で認められる

そんな日を夢見ている

 

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