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実相寺監督作品「無常」1970年

最近、移動の電車で、スマホで映画鑑賞ばかりしています。

この数週間ですでに3本の映画を鑑賞。
なぜか日本映画ばかりなのですが・・・

まず今回ブログで書くのは、実相寺昭雄監督が手がけた長編映画第一作目の「無常」です。

1970年のATG(日本アートシアターギルド)製作で、主演に田村亮、司美智子、岡田英次など

本作はスイスの1970年ロカルノ国際映画祭最高賞を受賞した作品でもあります。

実相寺監督と言えば、円谷プロウルトラシリーズを手がけた演出家というイメージが強いのですが、この「無常」は滋賀県東近江市を舞台に、古くから続く商家の姉と弟の近親相姦を描いたショッキングなもの。

ウルトラセブンの放送が1967年から1968年までで、その後テレビから離れて実相寺監督が本格的な劇場映画を手がけた第一作目がこの「無常」になります。

劇場映画ではありますが、そこは非商業主義のATG映画。

「無常」もまさにアート映画(芸術映画)そのものでした。

ただ、つまらない&理解不能の芸術映画に仕上がっているのかというと、決してそうではなく、ワンカットひとつずつに実相寺監督のこだわりが詰まった実相寺ワールドに仕上がっていました。

公開当時は成人指定とされたようで、ウルトラセブンを演出した同じ演出家とは思えないほど
エロスにあふれた内容。

映画「無常」のほぼ半分以上を占めているのが、実相寺監督の手によるマニアックすぎる大胆な性描写。

近親相姦だけではなく、後妻と血の繋がらない息子との性行為から、性行為を覗き見する僧侶などなど、これでもかっ!というほど、モラルなき性描写が出てくるのは、実相寺監督の趣味なのか?と疑ってしまうほど。

まさに現在に氾濫するアダルトビデオの先を行った、先駆的な映画のような気がしました。

劇中、仏教もどきの教えも出てきますが、虚無的で独断的な考えを持つ主人公の青年が、性のタブーを破って突き進む姿は何を言わんとしているのか?


(注:ココからネタばれあり)


ラスト近くで菅井きんさん扮する、
死んだおばあちゃんと海辺で鯉を掘り返し、 その鯉の腹を切って出てくるのが梵語がビッシリ書かれた石だったというのは、どういう意味なのか?

死んだのは、息子役のささきいさおさん
ではなく、田村亮さん演じる主人公の方だったのか?

ラストがわかるようで、わからない。

個人的には、映画のワンシーンひとつずつを見るたびに、あれ?ウルトラセブンでみたようなカットだなと感じたこと。

それもそのはずで、この映画の撮影を担当した稲垣涌三氏と中堀正夫氏は、実相寺監督とウルトラシリーズでタッグを組んでいたカメラマン。

構図、カメラワークがウルトラシリーズでみたようなシーンがあるのは、当たり前と言えば当たり前。

ただ、どのカットをとっても、それまでの映画で使われたことのないような構図、シーンに仕上げてくるのは、実相寺監督作品というべきか。

電車の車中にスマホで見るにはキツいシーンのオンパレードでしたが(笑

まわりの目を気にせず、一気に集中して見てしまった映画でした。

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