黒澤明監督とタッグを組んで、日本映画を世界に知らしめた
脚本家 橋本忍さんが7月19日にお亡くなりになられたという
ニュースを見ました。
その中でも、個人的に好きな作品は「生きる」です。
日本大学大学院で映画を研究していた時に、日大の先生より
ぜひ、読んでおいた方がいい映画関係の本として勧められたのが
タイトルにある「複眼」とは、黒澤明映画の特徴の一つを表しています。
映画の設計図である脚本作成時に、複数の人の視点を通すことで、
映画が完成する前に、すでに客観性を持つ作品として出来上がっている。
行われており、著書「複眼の映像」のなかでは、息詰まる死闘のような
ピリピリした執筆現場の様子が詳細に書かれています。
私は博士論文「デジタルシネマ時代における日本映画興行界に関する一考察」
の参考文献として、この「複眼の映像」を5回ほど読みました。
この本の最後に、橋本忍さんが日本映画の将来を憂う部分があります。
映画館の上映時間制限の枠を超えて、本当はもっと自由に映画を作れるはずだ、
もっと多様性に富んだ映画の製作が可能になるはずだ、と。
その脚本を手がける姿は、小説「新・人間革命」の中に詳しく書かれていたのを
読んだことがあります。
映画監督としても「私は貝になりたい」や「幻の湖」などを手がけた
橋本忍さん。
映画監督の名前だけが注目されがちな中で、脚本家として今もなお
影響を与え続ける、唯一無二の存在だと思います。
橋本忍さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。
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