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萩尾望都「訪問者」

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萩尾望都(はぎお もと)さんの漫画「訪問者」を、とても大切な人から薦められ読んでみました。
萩尾望都さんの漫画「11人いる!」もその人からお借りして読んだのでした。

萩尾望都さんと言えば、少女漫画界ではすでに重鎮的な人物。
トーマの心臓」「ポーの一族」など、少女漫画の域を超えた数々の漫画を書かれています。

私は兄弟に妹がいるので、少女漫画はある程度有名な作品は読んだことがあります。
例えば、「はいからさんが通る」「ガラスの仮面」「キャンディーキャンディー」
「お父さんは心配性」などなど

今回の「訪問者」は、過去に傷を負ったある夫婦の間の子供を主人公にした物語。
(内容はネタバレしないように、あまり書かないようにしますのでご安心を)

「訪問者」そのものは短編(中編?)作品として書かれたもので、内容はとても暗いものでした。

舞台がヨーロッパだったのが救いかな・・・と思えたくらい、親と子供の関係についてシリアス
に描かれた物語で、離婚が増えている現代の日本社会に舞台を置き換えても、そのまま通用する
リアルなストーリーでした。

萩尾さんの漫画を読んだのは「11人いる!」と、この「訪問者」(他の短編も入っている)の二冊。

一番最初の印象は萩尾漫画はとても「詩的」だな、と思いました。
台詞の配置や絵の配置が計算されていて、ラストシーンは必ず印象的なシーンで締めくくるという
感じ。

なので、読んだ後にズーンと何か心に残るものがあります。

しかも、萩尾漫画は恋愛メインの単なる少女漫画の域を超えた、深いテーマ、社会性を含んでおり、
考えさせられるものがあります。

私は漫画家ではないのですが映像を作って行くうえで、この萩尾漫画から得るものは大きいものが
ありました。

ヤフーニュースによると、アニメ監督の押井守さんの発言が話題になっているそうで、
僕の見る限り現在のアニメのほとんどはオタクの消費財と化し、コピーのコピーのコピーで
『表現』の体をなしていない」(ヤフーニュースより)

との事で、
「制作者には新たな創造性や、作品を通じて訴える思想的なものが欠如し、過去にヒットした作品
の焼き直しばかり。例えば「萌え」が流行すればそうした作品ばかりになっている。また、今のアニメ
はオタクと呼ばれるファン層に媚びたものが多く、こうしたことから「表現」が制作者から無
くなった、という批判だ。」(ヤフーニュースより)

「作品を通じて訴える思想的なものの欠如」という指摘は、なるほどと思いました。
これはアニメ界だけではく、日本映画界全般にも言えることかもしれません。

萩尾望都さんの漫画に戻りますが、萩尾漫画の特徴の一つであるテーマ、社会性が描かれている点は
まさに、萩尾さんの思想や考えが反映されているもののような気がします。

さて、私はと言うと、自分の作品にそのようなテーマ、思想、社会性を反映させているのかどうか?
考えてみないといけないかもしれません。

これまでの前二作「サイレントプラネット」「さよならニッポン」には、自分の考えを反映させた
つもりです。ただ、まだ弱いのかもしれません。

次回作ではより強くテーマや思想について描いていきたいと思いました。

萩尾望都さんの漫画、ぜひ、一度読んでみてください。