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2013年 映画界の予想


映画館物語2007予告編 Preview "The Movie Theater Story"

前述した映画評「裏切りのサーカス」を書き終わってから、
ふと、最近の映画について考えてみました。

CG映画全盛期でもある昨今の映画界において、よくよく考えてみると
スピルバーグ監督が仕掛けた映画「ジェラシック・パーク」以来、
ほとんど映画技術は進歩していない事に気がついたのです。

確かに、ジェームズ・キャメロンの「アバター」は3D映画として、
しかもほとんどフルCGアニメ(一部実写)として大成功を収めたわけですが
CGを使用していかにリアリティあるものに仕上げるかという点においては
トランスフォーマー」にせよ、何にせよ「ジェラシック・パーク」が到達した
映像に変わりがないわけです。

CGアニメにせよ、CGをふんだんに使った映画にせよ、やはりCGはツールでしかない。
すでにお客は最新のCG技術を見ても驚かなくなってきている。

では3Dメガネをかけてみせる立体映画はどうかと言えば、アメリカでも問題視
されているように、興行側が少しでも入場料を上げる理由の一つでしかなく、
わずらわしいメガネをかけてまで立体映画を楽しんでいるお客は少ないような気がします。

キャメロン監督がすでに手がけている「アバター」の続編がIMAXで上映されれば
お客は詰めかけるかもしれませんが、どうも日本における3D映画の上映は下火に
なりつつあるように思います。

いかんせん、日本はそもそもの映画の入場料金が高すぎるわけで、3D映画になると
値引きいたしません!との注釈付きで2000円近くもかかる。
これでは映画を気軽に観るわけにはいきません。

2013年の映画界の予測を勝手に考えてみると、まず3D映画が衰退するような気がします。

そして、シネコンが余っているスクリーンを次々に、ミニシアター系が手がけていた
作品にまで手を伸ばして上映していくのだろうと考えます。
これはすでにシネコンがやっていることではありますが。

「シネマトゥディ」の記事で「ミニシアター文化をめぐる現実は厳しい」があり、
渋谷で次々とミニシアターが閉館しているニュースが書かれてありました。

記事の中で、シネマライズの支配人が下記のコメントを残しています。

 『「一時期まで、ウチでやっている作品に外れはありませんでした。
それほどまでに作品を厳選していたんです。でも、今はもう良質のインディペンデント
作品自体が少なくなっている」と縮小の理由を明かした頼氏。
作品数が少なくなっているために、これまではミニシアターごとにあった特色も
薄くならざるを得なかったといい「でも、それはもう言っても仕方のないことなんですね。
映画界も以前のように景気がいいわけではないから」と映画業界の現状を憂う。』

とありましたが、本当に「良質のインディペンデント作品自体」が少なくなって
きたのが、ミニシアターの経営を圧迫しているのか?と、私は疑問に感じました。

私、個人の考えですが、決して良質のインディペンデント作品が少なくなって
いるのが、ミニシアターを次々と閉館に追い込んでいるわけではないと思います。

先に書いたように、スクリーン数では圧倒的な優位に立つシネコンの数が
日本では頭打ちになり、そのシネコンが生き残りをかけてミニシアターでしか
上映されなかったような作品まで上映し始めている事が、一番の原因になっている
ような気がします。

また、多くの家庭に薄型で高画質のテレビが普及したため、わざわざ高いお金を
支払ってまで映画館で映画を観なくてもよくなってきていることも、映画館離れを
加速させているように思います。

2009年に私が書いた大学院の論文「デジタルシネマ時代における日本映画興行界の
一考察」と、監督したドキュメンタリー映画「映画館物語2007ー2008」にて
描いたことですが、映画館が生き残りをかけるためには、何度もお客を映画館に
足を運んでもらうサービス、工夫をしないとダメだと言うことです。

まずはリピーターを確実につけるために、映画館=高い入場料 から脱却をしないと
DVDレンタルでは100円~300円で見ることができるため、まず太刀打ち出来ません。

また海外からやってきた動画視聴サービス「Hulu」などが始まり、ますます
スクリーンで映画を観なくてもスマホで、タブレットで気軽に高画質の映画が観れてしまう。

日本アニメ界の巨匠、宮崎駿監督がある記事に、「すでに映画館は映画館としての役目を
終わりつつある」といった主旨のコメントを載せていましたが、事実そうなのかもしれません。

映画のデジタル化が進み、製作側だけでなく、興行側にもその影響が及び始めています。

来るべき2013年の映画界はどのような変化が起こるのか?
ある意味、日本映画興行界にとってシビアな年になるのかもしれません。