映画「ハンガーゲーム」
アメリカで大ヒットした映画「ハンガーゲーム」を観ました。
監督は「カラーオブハート」のゲイリー・ロス、主演に「ウィンターズ・ボーン」で一躍有名になったジェニファー・ローレンス。
この映画はアメリカのスーザン・コリンズの小説を映画化したもので、公開されると日本映画「バトルロワイアル」に酷似してると噂がたった作品です。
ご存じ「バトルロワイアル」は、あの深作欣二監督が手がけた問題作。
この映画も原作があり、高見広春の小説が元になった作品で、アメリカのスティーブン・キングの小説「死のロングウォーク」が下敷きになっているとのことです。
盗作だ、いやオリジナルだ、と言う議論は置いといて、「ハンガーゲーム」がアメリカでヒットした要因は、その内容が現実のアメリカ社会を皮肉ったものだったからだと考えています。
それは、「ハンガーゲーム」が描かれている世界は近未来のアメリカで、わずかな富裕層が支配する世界と支配される多くの貧しい人々と言う図式に、ジェニファー・ローレンス演じる強く優しいヒロインがサバイバルゲームに挑むというもの。
アメリカを中心に広がった富裕層への嫌悪と貧富の差の拡大に対する運動が重なり、はこの映画を大ヒットさせた一つの要因になっているのではないでしょうか。
同じくアメリカで大ヒット中の映画「ダークナイト ライジング」でも、悪党ベイン達がターゲットにしたのは富裕層たちでした。
日本は大地震と原発事故問題があり、アメリカから広がった貧富の差改善を要求する運動はほとんどみられなかったのですが、リーマンショック以降のアメリカ社会では貧富の問題がずーっと尾を引いているような気がします。
もちろん、映画「ハンガーゲーム」を支えているもう一つの要因は、ジェニファー・ローレンスの強さと美しさによるものが大きいと感じました。
日本の「バトルロワイアル」が、暴力に暴走する若者を皮肉った内容であるのに対し、「ハンガーゲーム」の根底にあるのはアメリカ社会の病理を皮肉ったものであると言えます。
映画として観た場合、「ハンガーゲーム」はティーンを対象にした、過激さがそこそこ抑えられた内容であり、ストーリー展開は予測できるものなので、イマイチ感は強いと思います。