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漫画評:「のたり松太郎」

ちばてつや先生の漫画の中でも、
一番好きなのが、この「のたり松太郎」です。

あしたのジョー」「俺は鉄兵」も
好きですが、厳しい相撲の世界を
ユーモアたっぷりに描いた作品が
のたり松太郎」なんです。

本屋に行って、店員にこの漫画の
タイトルを伝えるのが、少し厄介でして、
決まって店員から「は?」と、聞きき返されてしまいます。

のたり松太郎」の主人公は、九州のさびれた炭坑町の暴れん坊、坂口松太郎です。

父親を早くから亡くし、母親が五人兄弟を育てているのですが、
坂口は19歳になっても中学生のままで、
学校には憧れの女教師、冷子先生に
会うためだけに通っている始末。

おまけに学校をサボっては、炭坑で働く西尾のじっちゃんの手伝いをしながら、
町で暴れるという日々。

そこにたまたま相撲の巡業が来ていて、
関取とモメ事を起こした坂口に、
偶然にも相撲という道が開けていくと言うストーリーが展開していきます。

ちばてつや先生の漫画に共通しているのが、
綿密に描かれている生活描写です。

普通ならこんなシーンはカットされるだろうなと思う部分が、
ちば漫画には事細かに描かれているのです。

これは、あのアニメ界の巨匠、宮崎駿先生のアニメにも
共通していると思います。

何気ない生活描写、例えば、朝御飯を食べるシーンとか、
相撲部屋で暇を持て余している等のシーンが、
非常にリアルに描かれているのです。

ちばてつや先生は、漫画を書く時には
やはり事前に丁寧な取材をしているからなのでしょう。

空想して書く部分もあるのでしょうが、
取材に基づいた現実的な描写に引き込まれてしまいます。

だから、ちば漫画は何度も何度も
繰り返し読めてしまうのかもしれません。

私が手がける映像にも、ちばてつや先生のようなエキスが少しでも
真似る事が出来たらなぁと、いつも考えますが、なかなか上手くはいきませんね。。

強烈なキャラクター設定も人気の一つでしょうが、
やはり、ちばてつや先生の漫画には、
読者を飽きさせない工夫が凝らされており、
なおかつ、主人公が自分の才能を第三者によって見出されながら、
苦労を重ねて成長していく姿が描かれているのが見所のような気がしてなりません。

ちば漫画を読んだ事がない人には、
是非、一度読んで見る事をオススメしたいですね。