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「安部公房伝」(最近読んだ本)

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2012年11月に安部公房の未発表の原稿「天使」(安部公房22歳の作品)が見つかるなど、死後19年という年月が過ぎた今もなお話題になる作家、安部公房

その彼の一人娘である、安部ねりさんが書いた本がこの「安部公房伝」です。

安部ねりさん自身は医師であるので、この本に書かれている文章はおせいじにも読みやすいとはいえません。

ただ、他の評論家が分析した安部公房論とは違い、娘からみた父、安部公房が描かれている部分は興味深かったですね。

多くの人が知ってのとおり、日本初のワープロNECの「文豪」は、安部公房と担当者が打ち合わせをしつつ、作り上げたもの。

本文の中で、安部公房が娘ねりに、「文豪が『文豪』を使ってるなんて笑える」と話したというくだりがあったりと、私生活の安部公房の姿を伝えるものとしては貴重なのかもしれません。

私が「安部公房伝」を手にした理由は、安部公房の妻、安部真知について興味があったからでした。

安部真知は私と同郷の大分県生まれ。
豊後高田の出身で、日本画を学んだ芸術家でした。

安部公房との関係がギクシャクする前まで、多くの安部公房の本の装丁を手がけ、安部公房の舞台では舞台美術を担当していたのが、安部真知でした。

なぜ、安部公房と真知の関係がうまくいかなくなったのか?

安部公房伝」の中には、娘ねりからの視点で二人の関係について語られる部分が出てきます。

あるニュースによると、もし、安部公房が生きていたなら、三島由紀夫などよりも有力なノーベル文学賞候補だったそうで(記述では『かなり近い位置にいた』らしい)、今も安部公房が残した影響は計り知れないものがあると感じました。