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ヴィヴィアン・マイヤーを探して

最近、DVDやブルーレイで映画を観る機会が増えました。
そんななかで見た一本の映画がこの「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」でした。

すでに劇場公開は2015年で終わっているのですが、DVDで観ることに。

ヴィヴィアン・マイヤーとは、アメリカで発見された無名女性フォトグラファーの名前。
彼女は2009年に他界し、彼女が残した莫大なフィルム、ネガは彼女の生前に公開される
ことはなかった。しかも、生前の彼女の職業は写真家ではなく、乳母だったという。

ヴィヴィアン・マイヤーの写真を世界中に知らしめたのが、この映画の監督でもある、
ジョン・マルーフという青年。もともとは歴史本を書く資料集めとして古い写真を
オークションなどで購入していた人物。

そんなジョン・マルーフが偶然にオークションで購入した膨大な量の古い写真のネガ、
フィルムがヴィヴィアン・マイヤーが生前に撮影した写真だった。

しかし、マルーフが彼女の写真を見つけたものの、無名な女性が撮影した写真は、
発見当時、何の価値もないものだった。

しかし、マルーフはこの写真は芸術的に価値があるものになると信じて、
SNSで投稿した途端、世界中から反響があり、その写真を撮影したのは誰だ?
ということになり、ヴィヴィアン・マイヤーという存在が明らかになっていく。

この映画は生涯、結婚もせず、乳母の仕事を転々と繰り返し、最後にはひっそりと
孤独に亡くなった、無名の写真家ヴィヴィアン・マイヤーを探すドキュメンタリー。

私もアラスカで写真を少し勉強した経験があるので、写真にまつわる映画、書籍は
好きで観たり、読んだりするのですが、今回の映画はとてもレアな、偶然が偶然を
呼んだような出来事のように、非常に興味深く観ることができました。

ジョン・マルーフのガッツある行動にも驚きましたが、生涯を乳母として暮らしていた
ヴィヴィアン・マイヤーという女性の生き様にも驚きました。
なぜ、彼女は自分の写真を世にださなかったのか?
なぜ、彼女は自分はフランス人だと言い張ったのか?
(実際、彼女はニューヨーク出身のアメリカ人で、母親がフランス人だった)

ラクタだと思われていた膨大な写真のネガ、フィルムが、今では世界中から
絶賛される写真になり、無名だったその写真を撮影した人物の名が一躍有名人に
なってしまう、しかもヴィヴィアンの死後に。

死後に有名になる芸術家の話は、よく聞く話ではありますが、
こんな展開になるとは・・・本当に人の一生とは謎ですね。

今ではネットでヴィヴィアン・マイヤー(VIVIAN MAIER)と検索すると
女流写真家として名前が出てくるのですが、果たしてそれはヴィヴィアンが望んだことなのか?

ヴィヴィアン・マイヤー自身、自分の死後、本人を題材にした映画が作られ、
自分の撮影した写真が世界中で展示されるとは思ってもいなかったはず。
ただ、私が考えるに、間違いなくヴィヴィアンは自分の撮影した写真に自信を持っていた
はずだと思うのです。

私は彼女が撮影したヴィヴィアン自身のポートレイト写真を見て感じるのは、
ヴィヴィアンは貧乏で無名、しかも孤独な乳母にすぎなかったかもしれないが、
彼女がカメラを手にした瞬間だけは、自分がこの世界を支配しているかのような
堂々とした威厳を感じるのです。

イメージ 1

ヴィヴィアン・マイヤーを探して(Finding Vivian Maier)、実に興味深い

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