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映画評「鉄男2」(ニュージーランドの国際映画祭 にて)その1

私が20代の頃、約一年間、ニュージーランドに住んでいた事がありました。

その時に一度だけ、オークランドで開催された国際映画祭を見に行った事がありました。

あのニュージーランド出身の監督であり、「ロード・オブ・リング」を大成功させたピーター・ジャクソンが、「悪趣味な監督」というレッテルをまだ貼られていた時でした。

当時、彼も言わば無名な監督でした。

おまけに、ニュージーランドはお隣りのオーストラリアに比べても映画産業が活発とは言えませんでした。

そのニュージーランドの国際映画祭に、我が日本の映画が数本公開されると聞き、留学生仲間を誘って見に行きました。

北野武監督の「あの夏一番静かな海」や、塚本晋也監督の「鉄男2」を見ました。

北野監督の話はまた後日するとして、問題なのは「鉄男2」です。

上映された映画館は満席で、熱気が溢れていたのを覚えています。

しかも、その映画館は今でこそ見られなくなった、アーチを施した本格的な「劇場」でした。

その劇場に集まったニュージーランドの観客は、今思い返せば塚本監督のファンがほとんどだったと思います。

その証拠に「鉄男2」が始まるやいなや、爆笑が起こり、拍手喝采だったのです。

しかも、悲しげなシーンなのに、観客の笑いは止まりません。

私は内心、何か日本映画が馬鹿にされたような気がしてなりませんでした。

映画が終わり、観客が一斉に外に出ても、彼らは主演の田口トモロヲさんのうめき声を真似て、「うぉー」とか「あーっ」と叫んでました。

ますます私は日本映画が馬鹿にされていると思い、怒りました。

北野監督の作品では、観客は馬鹿にしたそぶりは全くなく、静かに劇場を去った時とを比較しても、この違いは一体なんだったのかと。

とどめは、一緒に見に行った日本人留学生から、「つまんない映画だったよ。何あれ」との一言でした。

激怒!ピークに達しましたね。

つづく