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映画評:「アウトレイジ」

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映画評:「アウトレイジ

北野武監督作品、「アウトレイジ」を観て来ました。

主要な役者さんのアップのカットが多く、やはり
メジャーな役者さんの顔は、アップに耐えられる
のだなぁ、と思いました。

映画の内容はと言うと、個人的には「ソナチネ」や
「3ー4× 10月」の方が好きでした。

「Brother」を観た時のような、観賞後にいまひとつ
パッとしない、モヤモヤした欲求不満が残ったの
です。

それはなぜか?と言うと、今回の「アウトレイジ
は、北野監督が語っていたように、ヤクザ同士の
権力抗争を描きつつ、実は現代の日本社会、特に
政治の世界を皮肉を交えて描いて見せているらしく
結局は「ズル賢いヤツ」が生き残るという点が、
映画を観終わった後に、スカっとしないのだと
思いました。

「貧乏くじばかりだよ」と言う、ビートたけしさん
演じるヤクザは、古いタイプの人間として
描かれていました。

いざと言う時には、自分の子分を先に逃がすという
義理人情ある親分肌を見せる、ビートたけしさん
演じるヤクザ。

それに対し、権力を自分のモノにするためなら
親分など関係がないという仁義なき男を
三浦友和さんが演じています。

対象的な人間を描きつつ、北野映画おなじみの
観客に「痛さ」が伝わるバイオレンスシーンを
これでもか!!とぶち込んだ映画、アウトレイジ

どうせなら、現実的ではないかもしれないけど、
ビートたけしが演じるヤクザが、二枚舌な親分
どもや、裏切り者達を次々と倒して権力を手に
して欲しかったですなぁ。

ま、こんな話はありえないわけですが。

やはり、「ソナチネ」越えは北野監督でも
難しいんでしょうね。バイオレンスとユーモアの
バランスが絶妙であり、ラストまで観客を圧倒する
パワーは「ソナチネ」の方に軍配があがります。
観賞後もずーっとメインテーマ曲が耳に残る、
久石譲さんの音楽もよかった。

また、セリフが素晴らしく、ラストのどんでん返し
に驚いた「3ー4× 10月」も、ダメなヤクザを
演じるビートたけし&渡嘉敷のコンビが最高でした。

これら両作品に共通するのが、ラストにはボスを
倒して、権力の頂点に立ったと思いきや、
ズドン!!と呆気なく死んでしまうという、
生き様を見せている点でしょうか。

でも、やはり、「アウトレイジ」的な映画の方が
2010年現在の日本にあっているのでしょうね。

不気味な話ではありますが。

最後に、椎名桔平さんをはじめ、杉本哲太さん等
男が美しく描かれている、久方ぶりの日本映画だ
と思いました。