映画「ヒューゴの不思議な発明」
あのマーティン・スコセッシ監督がファンタジー映画を作った!
「あの」というのは、これまでのスコセッシ監督作品は全て「大人向け」映画だったわけで、子供を主人公にした映画をスコセッシが作るなんて!
という意味なんです。
アカデミー賞にもノミネートされたりと、何かと話題になった「ヒューゴ」。
しかも流行りの3D映画だと言うから、またまた驚き。
スコセッシ監督曰く、妻から「自分の娘が観れる作品を作ったら?」と言われたのが「ヒューゴ」を作るきっかけだったとか。
日本語タイトルはいかにもファンタジー、子供向け映画なんですが、さすがはスコセッシ作品。
単なるファンタジー映画じゃないんですね、この映画。しかも、「子供向け」映画だったかと言うとそうでもない。
簡単に、この映画を解説するなら、「ジョルジュ・メリエスに捧げられた映画愛に満ちた作品」なんです。
ジョルジュ・メリエスを知らない人が観たら、まずこの映画には感動できないのが、この映画の大きな問題点でしょう。
「ヒューゴ」は、映画史を少しでも勉強した人向きだなと感じました。
リュミエール兄弟から始まり、過去の映画史に名を残した人物が次から次へと出てくる出てくる。
極めつけは、メリエスが晩年働いていた駅の売店を忠実に再現してたり、メリエスのグラスステージやセット、衣装までも再現して観せてくれます。
いかに、スコセッシ監督が過去の映画遺産を大切に感じているかがわかります。
なので、ファンタジー映画かな?と思って観たら大失敗なのが、この「ヒューゴ」なんです。
メリエス扮するベン・キングスレーの演技は文句なしで、あの問題児サシャ・バロン・コーエンもいい味を出しています。
ただ、子役に演技指導するのはスコセッシ監督は苦手なのか?なんとなく、主人公の少年やヒロインはたどたどしい感じが…
なぜ「ヒューゴ」や「アーティスト」のような、モノクロ、サイレント映画へ回帰したような作品が、アカデミー賞を賑わせたのか?
それはおそらく、デジタルシネマやCGをふんだんに使用した映画ばかりが目立つようになってきた近年の映画に対する反発が含まれているように思えました。
あ、もちろん「ヒューゴ」にもCGなどのデジタル技術は使用されているわけですが…