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映画「Zodiac」(2007年)

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ドラゴンタトゥーの女」のデビッド・フィンチャー監督作品「Zodiac」(2007年)を観ました。

「エイリアン3」からフィンチャー監督作品を見続けています。
いまのところ、「ゲーム」The Game (1997年)を除いて、全て鑑賞しております。

私のまわりではこの「Zodiac」(2007年)はあまり評判がよくなく、「つまらない」という意見が
多数あり、なかなか手が出なかった作品でした。

私が観たのはブルーレイの「ディレクターズカット版」。

確かに・・・
前半部分が長いかなと感じましたね。

ジェイク・ジレンホール扮する新聞漫画を書く漫画家、ロバート・グレイスミスが
一人で「ゾディアック」の真犯人を突き止めようと奮闘する前までが、ながーく感じました。

この「ゾディアック」は、1968年~1974年にアメリカのサンフランシスコで実際に
起きた連続殺人事件を映画化したもので、現在も犯人不明の未解決事件となっています。

そのせいか、この映画の脚本を担当したジェームス・ヴァンダービルトの気合いが入りまくりで
フィンチャー監督もかなり事実に忠実に描こうとした結果、映画として観た場合、ダラダラと
長い演出になってしまっているように感じました。

個人的にはロバート・ダウニーJrのくだりは、あまり面白くありませんでしたが、
ジェイク・ジレンホールの奮闘ぶりには引き込まれました。

とりわけ、真犯人とおぼしき人物の家に一人で乗り込んで行くシーンは必見。
地下室に行き、問題の映画のポスターを見せてもらうロバート・グレイスミス。
そして、ハッと自分の身の危険を感じて、大慌てで真犯人とおぼしき人物の家から出ようとするが・・

久々に映画を見ていてゾーッとしましたね。
(このあたりは観てのお楽しみなんで、ぜひ、ご覧下さい)

私がフィンチャー監督作品を観続けているのには理由があります。
それは、フィンチャー監督の演出スタイルを自分なりに研究しているからです。

このゾディアックはブルーレイ版のディレクターズカットを観たのですが、この特典映像として
入っていたメイキング映像がとても勉強になりました。

ジェイク・ジレンホールが車の中で本を開き、その本を横のシートに置くという単純なシーンを、
なんとフィンチャー監督は10テイク以上撮るのです。

しまいにはジェイク・ジレンホール自身が呆れ果てて、スタッフにジョークを言うシーンが
あるのですが、フィンチャー監督は納得がいくテイクが撮れるまで諦めません。

このメイキングを観た時、なぜ、デビッド・フィンチャー監督の映像がスタイリッシュと呼ばれ、
独特な映像美に仕上がっているのか?というヒントを観たような気がしました。

その他にも、オープニングで起こる殺人シーンも、一部はフィルムで撮影し、残りはデジタルで
撮影、そして、犯人がピストルを打つシーンはブルーバックを背景に撮影するというこだわり
満載のシーンを観ても、フィンチャー監督の演出の細かさがうかがえます。

とても真似はできないわけですが、やはりワンシーンにどれだけこだわりを持って撮影するか
これが演出家として本物か否か問われるものだと感じました。

前半部分のダラダラ感は否めない作品ではありますが、ぜひ。