以前、ニュージーランドの思い出として、UKのシンガー、Alison Limerickの話をしました。
今回はアラスカの思い出として、UKの女性シンガー、Annie Lennoxの話をします。
ニュージーランドのCDショップで、店員にAlison LimerickのCDを尋ねたら、私の発音が悪かったため、その店員はAnnie LennoxのCDを持ってきたという話でした。
その時、店員が持ってきたAnnie LennoxのCDが、「Diva」でした。
それから九年後の話です。
私は日本語教師のボランティア活動としてアメリカのアラスカに渡りました。
なぜアラスカだったのか?と言えば、ボランティア団体が推薦してくれた唯一のアメリカの州がアラスカだったからでした。
私が渡米をした目的は二つ。
英語を習得する事と、将来、アメリカの大学で映画製作を勉強する事でした。
しかしー
やはり、現実はそう簡単には行かず、英語習得はソコソコできたものの、映画製作を教えている大学に入るのには、それなりの費用がかかってしまい、金銭的な理由でやむなく大学で映画製作を学ぶ事を断念しました。
ただし、そのまま諦めるのは悔しいので、アラスカ大学では、あの日本人写真家の星野道夫がいた、写真のクラスとテレビ製作のクラスを受講しました。
将来、アメリカで働けるようになって、お金が貯まったら大学で映画製作の勉強をしようとひそかに考えていました。
そんなアラスカでの大学寮生活が始まった頃、私は一人のアメリカ人学生と知り合いになりました。
彼の名はギャリソン。
彼はコンピューターサイエンス専攻の学生で、なぜか日本文化、中でも日本文学に興味があり、彼の寮の部屋にはあの文豪、森鴎外の写真が飾られていたのでした。
ギャリソンは甘いルックスね持ち主で、イギリスのウィリアム王子にそっくりだったため、日本人留学生の女の子たちの注目の的でした。
確かに、ギャリソンが日本に来て、東京の渋谷を歩かせたら大変な事になるなぁ、なんて思っていました。
私の生徒だった彼は、よく私のコンピューターのトラブルを解決してくれたものでした。
そんなある日、いつもお世話になっている御礼をしたいと思い、ギャリソンと映画を見に行きました。
ちょうどアラスカの1月だったと思います。
ギャリソンが運転する車に乗せてもらい、昼間に映画館まで行きました。
車の外は至るところ雪で真っ白。
外の気温はマイナス20度。
すべてが凍りついた世界です。
日本の九州で育った私にとって、アラスカの冬は生まれて初めて体験する、本物の雪に閉ざされた環境でした。
アラスカ生まれアラスカ育ちのギャリソンにとって、アラスカの冬は当たり前の寒さなのでしょう。
しかしー
アラスカで体験しましたが、外よりも暖房がきく前の車中の方がよっぽど寒いのです。
まさに冷凍庫の中。
ガタガタ体を震わせながら、車中で暖房がきいてくるのを待つしかありません。
もちろん、アラスカでは真冬、車に乗る前にエンジンをかけ、暖房を入れて先に車中を暖めておいてから車に乗るのが普通なんです。
ギャリソンと私は、見たい映画のスタート時間に間に合わせるため、慌てて車に飛び乗ったため、まぁ車中は寒いのなんの。
そんな中でも、ギャリソンはニコニコしており、気分をかえるためにラジオをつけたのでした。
その時ラジオから流れた曲があのAnnie Lennoxのアルバム「Diva」に収録されている「Cold」という曲でした。
アメリカンジョークなんでしょう、ラジオのDJも「今日のアンカレッジの最高気温はマイナス10度。今週で一番寒い日になるでしょう。そんな寒さを忘れさせてくれる曲をどうぞ。Annie LennoxのCOLDです。」なんてノンキな事を言ってました。
続く