今朝、仕事あがりに、職場の同僚二人と、富士そばでカツ丼と蕎麦を食べました。
なぜ朝からカツ丼だったのか?と言うと、職場の同僚の一人(上司)に、俳優という別の仕事を持っている人がいまして、その人と山田洋二監督の映画「幸福の黄色いハンカチ」の話題で盛り上がったからなんです。
映画「幸福の黄色いハンカチ」の最初のシーンに、高倉建さん演じる刑務所を出所したての男が、定食屋にやってきて「ビールとカツ丼」を注文するシーンがあります。
男はビールをゆっくりグラスに注いで、両手でグラスを持ち、一気にノドを鳴らしながらビールを飲み干します。
長い間、刑務所に入れられていたのでしょう、飲みたくても飲めなかったビールをようやく飲めたのです。
そして男はカツ丼に手をかけ、美味そうにほうばるのでした。
山田洋二監督の演出が冴え渡る名シーンです。
この話が異常に盛り上がり、意味はないのですが、朝からカロリーの高いカツ丼を食べることになったのです。
映画「幸福の黄色いハンカチ」には、他にも個人的な思い出があります。
この映画を初めて見たのは、まだ私が中学生の頃でした。
当時、映画好きな父が頻繁に名画座のオールナイトに通っていて、よく私も連れて行ってもらっていました。
その名画座の名前は「高城ロマン」。
今はなくなり、パチンコ風林火山になってしまいました。
私の母は映画を見ない人で、映画館に入るとすぐに寝てしまいます。
しかしー
そんな母ですら、この「幸福の黄色いハンカチ」は寝ずにしっかり最後まで見たのです。
土曜日のオールナイトというのに、映画館には私達三人だけの貸し切りでした。
同時上映はあの名作「砂の器」でした。
私がとくに「幸福の黄色いハンカチ」で気に入っているシーンがあります。
それは、武田鉄矢さん演じる男が、カニを食べてひどいゲリをしてしまい、道の路肩にハマった自分の愛車を動かそうとするシーンです。
建さん、鉄矢さんの二人で車の後ろから押して、桃井かおりさんがハンドルを握ってアクセルをふかしたとたん、車は草原の中を突っ切っていきます。
桃井さんはアクセルとブレーキを間違えて突進してしまい、その車の後ろを真顔の建さんと、武田鉄矢さんが走って追い掛ける。
父、母と私は大爆笑。
三人しかいない映画館なのに、盛り上がったのを今でも覚えています。
その後、私が大学受験浪人をしていた時に知り合った友人にも、この映画の話をして盛り上がりました。
その友人は私に日本映画やマイナー映画の面白さを教えてくれた、言わば映画の師匠みたいな人で、彼は今では京都の映像製作会社で助監督をするプロフェッショナルになっています。
一本の映画から、いろんな繋がりができるものですね。不思議です。
あれから10年以上が過ぎ、私が映画館についてのドキュメンタリー映画「映画館物語2007-2008」を作ったのは、こんな映画にまつわる思い出があったからかもしれません。