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The Walking Dead(ウォーキングデッド)にみる演出の違い

最近、スマートフォンを使いながら、通勤の電車の中で映画やテレビドラマを観ています。
これまで観たのは

テレビシリーズ
Breaking Bad(ブレイキング・バッド全5シーズン)
ファーゴ(エピソード1のみ視聴) 
Better Call Saul(ベター・コール・ソウル3シーズン)
THE WALKING DEAD(ウォーキングデッド7シーズン)

(映画・アニメ)
機動戦士ガンダム THE ORIGIN
血と骨
聖の青春
など

アメリカでは2014年にブロックバスターがなくなり、DVDレンタル屋が
ほぼ消滅したようで、その原因となっているのがNetflix(ネットフリックス)や
アマゾン、Huluといったネットで配信する業者が台頭してきたため。

日本ではまだゲオ、TSUTAYAが生き残っていますが、おそらく
あと10年しないうちに店舗はなくなるような気がしています。

なぜかというと、ネットの普及とスマホの高性能化により、
動画が普通に観ることができるようになったからですね。

「動画」と思わず書きましたが、これは「テレビ」や「映画」といったものと
区別されて、今では当たり前に使われている言葉ではあります。
そもそもの語源の由来はまた別の機会に書くとします。

さて、私がそのスマホで動画を観るようになったきっかけが、
ブレイキング・バッドシリーズ。

Netflixアマゾンプライムビデオで30日間無料お試しをしながら、
なんとか無料期間中に全エピソードを観ることはできないか?
と考えたわけです。

結局、シーズン3以上ある海外テレビドラマシリーズは、無料期間では
全部観ることができず、有料にして全エピソードをみるということに。

ブレイキング・バッドの壮絶なラストエピソードの余韻に浸るまもなく、
次に何かハマるドラマシリーズはないものかと探していた時に観たのが
このTHE WARKING DEAD(ウォーキング・デッド)シリーズでした。

イメージ 1

またしてもゾンビものかぁ、と
どうせよくあるゾンビ映画、感染映画ものを焼き直したものだろうと思い
暇つぶしにエピソード1だけを観てみることにしたのです。

海外ドラマにも、当然に当たりハズレがあります。
私的にハズレだったのが、

高い城の男(The Man in the High Castle)
ファーゴ
LOST

でした。

エピソード1を観て、つまらないものは次のエピソードを観ようとは思いません。
特に、FARGOはダメダメでした。
コーエン兄弟の映画版の印象が強いからでしょうか。

THE WALKING DEAD(ウォーキング・デッド)も全く期待せずに観たのでした。
ところが・・・
2010年から2017年と、すでに7年間も続いている長大河ドラマというのか、
ただのゾンビドラマとは異なる、感染後の世界を生きる人々を丁寧にかつ
バイオレンスたっぷりに描いており、ハマってしまいました。

アメリカは映画の草創期から、冒険活劇ものを生み出すのが得意な国なんだなぁと
改めて思います。

次はどうなるんだろう?その次はまたどうなるんだろう?と
観ている視聴者を飽きさせない工夫が、随所に施されている点はさすが。
脚本の妙技というのか、演出側との意思疎通がうまいのかどうか、
そのあたりはわかりませんが、7年間もテレビドラマシリーズを続けているのに、
お客の心を掴んで離さないのはスゴイ!としか言いようがありません。

ただし!
各シーズン、各エピソードによって演出家が異なっているため、
じーっと観ていくうちに、あれ?キャラクターのお芝居が変わってないか?とか
物語のテンション、雰囲気が変わってない?と気がつくことがあります。

この点は、一人の監督が手がける映画とは、大いに異なる点だと思います。
物語はシリーズで続いており、途中でキャラクターが死亡しない限りは、
キャラクターは生き続けていくという、ドラマの定めがあります。

私が特にドラマのテンションの変化が気になったのが、
THE WALKING DEAD(ウォーキング・デッド)シーズン6のエピソード16と
シーズン7のエピソード11の演出の差でした。

シーズン6のエピソード16は「Last Day on Earth」というタイトルで、
ウォーキング・デッドシリーズの中でも、一番悲惨極まりないシーンがある
陰惨な内容でした。(ネタバレはしませんので、ご安心を)

この演出を手がけたのは、グレッグ・ニコテロ(Greg Nicotero)という、
アメリカのペンシルバニア出身のメイクアップアーチスト兼演出家です。

そして、対照的なエピソードだと感じたのが、
シーズン7のエピソード11「Hostiles and Calamities」です。

この演出を手がけたのは、カリー・スコグランド(Kari Skogland)という、
カナダ出身の女性演出家で、主にテレビシリーズを演出を手がけてきた人物です。

シーズンとエピソードが異なるため、演出が違うのは当たり前ではありますが、
グレッグ・ニコテロの手による、悪のキャラクター「ニーガン」の描き方と、
カリー・スコグランドによる描き方が違うんですね。

グレッグの手にかかると、ニーガンは非道で人間性がまるでない悪の権化であり、
彼が描く物語は、陰々滅々のどうしょうもない暗いだけの演出に仕上がっています。

それに対して、カリーが描くエピソードには若干のユーモアが入り、
絶望的な世界観の中で、少しの明るさを観ることができる演出なんです。

個人的には、カリー・スコグランド(Kari Skogland)の演出方法の方が好きなんですね。
完全にこれは好きか嫌いかの、好みの問題かと思いますが。

アメリカがこんな陰惨なテレビシリーズを手がけ、さらに多くの視聴者から指示されている
こと自体、ある意味異常な感じを受けることがあります。
80年代のアメリカの映画やテレビシリーズと、2000年代の内容が異なるのは
ごく普通のことではありますが、それにしてもです。

リーマンショック、そしてサブプライムローン問題と、アメリカという国が
抱える深刻な問題群、特に中産階級と呼ばれた人々による貧富の差の拡大が、
暗い陰惨な内容のドラマが指示されている理由の一つのような気がします。

THE WALKING DEAD(ウォーキング・デッド)は、今月10月より、
本国アメリカで新シーズン8が放送スタートしましたね。
また眠れない日々が始まりそうです。

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