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山本周五郎(著)「おさん」

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久しぶりに、山本周五郎の本を読みました。

「青竹」「その木戸を通って」などの短編が集められている本でした。

最近、お世話になっている人が阿刀田高を読んでいるのを見て、
「その本、面白い?」と聞くと、「阿刀田高は日本の短編小説家の中では、星新一
並ぶ有名な人」と教えてくれたので、阿刀田高の本をとりあえず手にしてみたのでした。

阿刀田高のエッセー本の中に、阿刀田高が愛した短編ベスト20が書かれており、
その中に山本周五郎の「その木戸を通って」が選出されていたのでした。

「その木戸を通って」という小説は「不思議小説」と言われているらしく、
記憶を失った女と、その女を愛した男の悲しくも不思議な短編小説でした。

なるほど、これはまいった。

読後に何度もため息が出てしまうほど、山本周五郎の小説の世界にハマっていったのです。

私が大学生のころ、創価大学のサークル「文学研究会」に一時期だけ席をおいたことがあり
そこで研究発表したのが山本周五郎でした。

テーマは「山本周五郎におけるヒューマニズム」だったと思います。
もう何年も前のことなのですが。
なので、山本周五郎の本は数冊読んだことがありました。

山本周五郎と言えば、数多くの日本映画の原作にもなっていますね。

黒澤明監督の「椿三十郎」は山本周五郎の「日々平安」が原作ですし、
「赤ひげ」は「赤ひげ診療譚」が原作。

市川崑監督の「どら平太」は「町奉行日記」が原作で、「雨あがる」「海はみていた」などなど
山本周五郎原作小説の映画化は数知れず。

今回は阿刀田高のオススメ「その木戸を通って」を読む目的で本を読んでいたのですが、
この本の中に集録されていた「おさん」という短編にも、がーん!と久々に衝撃を受けた
のでした。

内容は読んでからのお楽しみなので、くどくど書きません。

ただ、男と女の業というものを深い次元で描いた小説で、とても官能的でありながら
悲しい小説でした。

掲載した本の表紙の下に、ちらりと写っている「ひるがお」の絵。
実はこれが「おさん」という小説の重要なキーワードだったりします。
ぜひ、一度読んでみてはいかがでしょうか。