日芸の大学院時代に、松本俊夫先生の授業を受講していました。
松本俊夫先生と言えば、日本の実験映画の第一人者であり、映画「薔薇の葬列」や「ドグラマグラ」という名作を世に出した監督でもあります。
役者でありタレントのピータを六本木のゲイバーで見つけ、「薔薇の葬列」の主役に抜擢したのも松本先生です。
その松本俊夫監督作品の中でも、私のお気に入りが「修羅」です。
この映画は、歌舞伎の鶴屋南北の演目「盟三五大切」から題材をとって映画化した作品です。
白黒がくっきり映る、コントラストが明確な特殊フィルムを使用して撮影されたこの映画は、今までにない白黒映像を見せてくれます。
映画の内容は、赤穂浪士という身分を隠した浪人侍の男が、一人の芸者にいれあげたために起こる悲劇を描いたもの。
まさにクライマックスはタイトルの如く、目を覆いたくなるような「修羅」場が展開します。
女に裏切られた男の復讐劇!!
女性が男性よりも強くなってきた現代にも通じる内容だと思いました。
ある時、松本先生に「修羅」の話を聞いたところ、「この映画が公開された時、お客がさっぱりはいらなかったんだ」との事でした。
「修羅」は凄い映画ですよ。ほんと。
是非、一度見て下さい。
ちなみに、私が制作した短編SF映画「サイレントプラネット」は、この「修羅」の影響をかなり受けましたね。
機会があったら、是非私の「サイレントプラネット」も見て下さいまし。おそらく来年、どこかで上映される予定です。