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ヘルツォーク監督とキンスキー

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伊丹十三監督のメイキングにひき続いて、今回はメイキングというよりドキュメンタリー映画
「キンスキー 我が最愛の敵」。

このドキュメンタリー映画は、ドイツ映画の巨匠、ヴェルナー・ヘルツォーク監督と
彼の作品に主演した、怪物役者クラウス・キンスキーとの関係を描いた作品です。

ヘルツォーク監督と言えば、「アギーレ 神の怒り」や「フィツカラルド」という作品が有名です。

「アギーレ 神の怒り」は監督が28歳の時に製作した作品で、あのペルーのマチュピチュ遺跡での
ロケをやってのけた大作です。

また、「フィツカラルド」ではアマゾンの奥地にオペラハウスを作るという、途方も無い夢を
おいつ続けた男を描き、アマゾンの小高い丘を伐採して、蒸気船を引っ張り上げるという
とてつもないシーンを撮影した名作です。

これら「アギーレ」「フィツカラルド」に主演したのが、クラウス・キンスキーだったのです。

「キンスキー 我が最愛の敵」では、キンスキーという役者の激しさ、やさしさが描かれて
いきます。自分が目立たないとわかると、何かとイチャモンをつけてスタッフを罵るシーンは
圧巻。

ドイツ語でまくし立てるキンスキーの狂気ぶりは凄まじいものがありました。

ヘルツォーク監督もよくまぁ、我慢に我慢をしたものだと思うくらい、キンスキーとぶつかり
ながら、それでいて、ヘルツォーク監督はキンスキーの持つ才能を信じていたわけです。

古今東西と問わず、有名な監督には必ずパートナーとも呼べる俳優さんがいることに気が付きます。

黒澤明監督には、三船敏郎
小津安二郎監督には、笠智衆
などなど

ヘルツォーク監督にとっては、クラウス・キンスキーだったわけです。

ヘルツォーク監督の役者を見る目は確かだったのだと、思わせるシーンがこのドキュメンタリーに
入っていました。

そのシーンとは、実は「フィツカラルド」には元々、別の役者を主演にして撮影を進める
予定だったらしく、キンスキーの前に撮影したシーンが残っていました。
(その役者は病気になり降板してしまいますが、なんと、その共演者はローリング・ストーンズ
ミック・ジャガーだったのです)

そのシーンとは、主人公が教会の塔の上で「オペラハウスを作るぞー」と叫びまわるシーンでした。

最初に主演した役者が演じたシーンと、キンスキーが同じシーンを演じたシーンが
比較されて映しだされるわけですが、一目瞭然、キンスキーの演技の方が凄まじくいいのです。

教会の塔の上で、下を見下ろしながらキンスキーが叫びます。
「オペラハウスだ!オペラハウスだ!」

1991年にクラウス・キンスキーは亡くなってしまいますが、ヘルツォーク監督はラストに
蝶と戯れるキンスキーのシーンを、まるで愛惜しむように流します。

敵でもあり、仲間でもあったヘルツォークとキンスキー。

必見なドキュメンタリー映画でした。是非!御覧ください。