彼女は日本が持つ伝統美をこよなく愛している人で、普段でもよく着物も着ていると
語っていました。
「着物」
そういえば、私の母方の祖母は仕事として「着物」を作っていた人でした。
その祖母は「着物」のことを「おベベ」と言い、着物を縫う白い台に正座をして
器用に針を動かしていました。
「マチ針」という仮止めをする針を、その祖母は自分の着物に数個さしては、慣れた手つきで
着物のもとになる反物(たんもの)に次々と刺していきます。
幼い頃の私はじーっとその姿を横で眺めていて、祖母がいなくなった隙に、自分の服に
マチ針を刺してみたことがありました。そこに祖母が戻ってきて「危ない!」と怒られた事を
今でも覚えています。
掲載した写真は、中原淳一さんの「きもの読本」という本です。
以前、着物を着た女性を主人公にした短編映画を撮影する予定だった時に
「着物」について勉強しようとして購入した本でした。
確かに西洋化が進んだ日本では、和風の物は特別な時でないとお目にかかることができない
貴重なものになりつつあるよう思えます。
日本に住んでいるのにも関わらず、「和風」な物が珍しいという不思議な感じ。
イラストレーターの方と話をしながら、忘れられつつある伝統美について
考えをめぐらせていました。