STUDIO F+のPhoto Blog

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3D映画は誰のため?

最近、編集、夜学、夜勤のルーティンワークのため、映画館で映画を見る機会はおろか、
自宅でDVD鑑賞する時間もほとんどありません。。

唯一、最近、観た映画は超低予算SF映画で話題の「モンスターズ」でした。

この監督、まだ30代なんですが、この「モンスターズ」が話題を呼んだため
次回の「ゴジラ USA」版の監督に大抜擢されたとか。

「モンスターズ」の話題は次回のブログで書くとして、今回はぐっと私の本業に近づいて、
大学院で研究をしていた「映画興行」の話をします。

「オトコとオンナ」や「恋愛」「結婚」の話はたまーにしか書きませんが、映画の話になると
途端に筆が進みます。

私がこれまで鑑賞した3D映画は「アバター」「トロン レガシー」の二作のみ。
鑑賞本数が少ないのは、近所にIMAXシアターがないためと、映画料金が高いためです。

映画の本場、アメリカから世界に向けて普及を促進させられつつある3D映画。
この背景には興行収入が伸び悩む映画業界、とりわけ映画館チェーンの興行主の切なる
要望があります。

アメリカでも若者のTV離れ、映画館離れが激しいらしく、インターネットで簡単に手軽に
観れてしまう方を選択する人が増えているようです。

そこで、興行収入をなんとか減らさず、増やす方法はないか?と考えだされたのが3D映画なんです。

もともと、3D映画の歴史を振り返ると、何年か周期にわたって3D映画ブームというのが起きて
いたのです。ただし、3D対応映画のコンテンツが少ない事、それほど集客率が高くない事などから
3D映画は長続きしない、いわば「イベント的要素」の強いコンテンツとしてヒッソリと存在して
いたのです。

しかし、これが映画のデジタル化が進み、映像のクオリティーを落とさず、かつ、迫力ある3D映像を
デジタル方式で映画館で上映できる技術が開発されたため、アメリカの映画業界はそれに飛びついたの
でした。

3D映画の突破口を開いたのが、「タイタニック」の監督、ジェームズ・キャメロンの「アバター」。

映画興行主としては映画館の入場料金を下げたくないが、これ以上、値上げをすると映画館離れが
加速してしまうというジレンマに陥っていた矢先に、救世主として現れたのが3D映画「アバター
の大ヒットだったのです。

3D映画料金はメガネを使用するため、その3Dメガネの維持(洗浄や管理)にお金がかかります。
そのため、3D映画料金は通常の映画料金よりも高い料金設定されています。

ただし、ココがポイントで、映画興行主からするとお客に文句を言われる事無く、映画料金を
上げる事を可能にしたのが3D映画だったのです。

当然、「アバター」級の超ヒット3D映画が、今後生まれない限り、3D映画は単なるブームで
終わってしまいます。すべてはお客が2000円以上の金額を支払ってでも観たい3D映画が
次々と生み出す事ができるのかにかかっているのです。

結論から言うと、3D映画はお客を呼ぶための手段であり、アメリカ映画産業界が冷えきった
映画興行収入に新たなマネーをもたらすものとして登場させた映画であると言えます。

私は3D映画に反対はしません。
しかし、もともと2Dで撮影された映画を、疑似3D映画として上映している映画には疑問を感じます。

大人1800円という世界一高い入場料を設定している日本では、シネコン間の競争が激しくなるにつれて
生じた映画料金の割引合戦により、興行収入の減少がやはり問題になっていたところでした。

3D映画はお客のため、というよりは、映画産業のためであると言わざるおえない状況があるのです。