前回の続きです。
New zealand航空の飛行機の中で知り合った女の子ジェニー。
私はシドニーで再び会う事になりました。
ジェニーの弟さんの運転する車は一路、公園へ。
前回もお話したとおり、あのトム・クルーズの映画「ミッション・インポッシブル2」のラストで使用された、元海軍の要塞跡地が公園でした。
私がこの公園を訪れたのは、映画が撮影される何年も前の事ですが。
ジェニーと弟さんは久々の再開らしく、お互いの家庭の事情について話しをしていました。
父親と母親が別居状態なら、仕方がない話ではあります。
海岸に二人を残して、要塞跡地を散策しました。
この要塞は対日本軍用に作られたものだという看板がでていました。
なるほど。
空は澄み渡る青空。果てしなく続く水平線を眺めると、とてもここが要塞だったとは信じがたいくらいでした。
ジェニーのところに戻ると、今晩、ジェニーの弟さん家で映画でも見ながらディナーでもどう?とのこと。
友人との約束をキャンセルしていたので、恐縮しながOKと伝え、車に乗り込んだのでした。
ジェニーが、「アジア映画を見たいから、オススメのアジア映画を一本選んでね」というので、悩んだあげく、チェン・カイコー監督、レスリー・チャン主演の「覇王別姫」を選びました。
演ずることに人生を捧げた二人の男の生涯を、京劇をベースに描いた作品です。
以前、日本でも話題になった映画でした。
ジェニーと弟さんが、それぞれハリウッド映画を選び、弟さんのマンションへ。
ディナーはケンタッキーでした。
なぜジェニーはここまで親切なのだろう?と思いました。
ジェニーは東南アジアなどの外国で、生活をした経験があった事があると思います。
もちろん、ジェニーの人柄や性格のよさもあります。
彼女は自分が生まれた国以外で生活をした経験がある。
ある意味、世界を知っている人でした。
世界を知るとは、いかに自分自身の存在が小さく、無力であることかを知る事でもあると思います。
そして、肌の色、言語、文化、習慣の違いはあれども、誰もが同じ人間であることにはかわりがないと知る事だと思うのです。
その後、日本に帰国してから、一度だけジェニーから手紙が来ました。
また母親と生活を始めた事、オーストラリアから各国を転々する日々な事が書き記されていました。
手紙の中には、綺麗な金色をした小さな星のシールが数枚入っていました。
ジェニーに返事を書いて送りましたが、すでにシドニーを旅立った後のようでした。
今となっては懐かしい思い出です。