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映画評・韓国映画「チェイサー」

韓国映画「チェイサー」は、韓国で実際に起きた連続殺人事件を題材にしたサスペンス映画である。

監督はこの作品が長編作品デビューのナ・ホンジン。主演にキム・ユンソク、ハ・ジョンウ。

評判通り、凄い映画でした。いや、凄まじい映画と言ったほうが適切な映画でした。

ある意味、救いが全くない映画と言えるかもしれません。

韓国映画オールドボーイ」を見た時も同じ感想を思ったのですが、徹底したリアリズム描写に、こだわり貫かれた映像美。

恐らく、役者を徹底的にシゴキあげたであろう、その演出力はたいしたものです。

しかし、その一方で、見た後、二度とはもう見たくないかもと思ってしまうほど、暗い、重い、悲しいという負の三拍子が揃っています。

ある時期の日本映画もそうでした。

ナ・ホンジン監督は、この映画を見る観客に対して「本作を観た方に罪悪感を感じて欲しい」と述べていました。

なるほど、それ故に問題提起した作品に仕上がっていると言えます。

ただし、お説教くさい映画は嫌ですね。

映画では韓国のデリバリーヘルス嬢が次々と事件に巻き込まれますが、韓国ではデリヘル嬢が車で客をピックアップするんですね。

危険だー

ま、とにかく、凄まじいバイオレンス描写によって、暴力の虚しさを訴えているアメリカのマーティン・スコセッシ監督を思い出させます。

最後に、日本ではまだ無名な役者、キム・ユンソクはいい味だした役者ですね。映画では元刑事でデリヘルの元締役をやってます。

韓国って、この手のオッサン俳優を魅力あるよう描くのがうまいですね。中太りの貫禄のあるオッサンを。

個人的に気に入ったシーンは、雨の車中、母親が事件に巻き込まれた事を知り泣き叫ぶ少女と、その隣で車のハンドルを握り、携帯電話で喚きちらす主人公の男のシーンです。

台詞が一切なく、音楽と映像で表現をしている、見事なシーンだと思います。これぞ映画だ!という映像表現でした。