映画「他人の顔」
安部公房の原作小説を勅使河原宏監督が映画化した作品。
主演に、仲代達矢、京マチ子。
私が観た勅使河原宏監督作品、三作目がこの「他人の顔」でした。
一番最初に観た勅使河原作品は「おとし穴」で、これも強烈な印象を残す作品でしたね。
原作の安部公房の小説は、「箱男」、「砂の女」、「人間そっくり」と、まだ三冊しか読んでいませんが、どの作品も映画以上にインパクトがありました。
「他人の顔」は、事故で顔に薬品がかかり、顔にひどい怪我をしてしまった男が四六時中、顔に包帯を巻いて生活をしなくてはならなくなった話。
映画ではオープニングシーンから、ガツンとインパクトを与えるシーンから始まります。
勅使河原監督の作品はどれをとっても、核心部分を切り取ったかのような映像表現を観客にズバッと観せてきます。
このため、勅使河原作品の映像が始まると終わるまで観客は身動きできないくらいの衝撃を受けて、ずーっと映像を観続けることになります。
映画を観ている観客は、次に起こりうるシーンを頭の中で予測しながら観ているそうです。
しかし、勅使河原作品となると、いったい、次のシーンはどうなるのか?さっぱり検討がつかないのです。
「他人の顔」で描かれる男と女のドラマを見るにつけて、同じく安部公房原作の「砂の女」と共通する部分があるように感じました。
それは、「所詮、男は女にはかなわない」という事です。
映画版もいいのですが、安部公房の原作小説を読んでみたくなりました。